先天性の脳の機能障害が原因で乳幼児期に生じる発達の遅れをいい、知的障害を伴う場合もあります。
発達障害者支援法においては、主に自閉症・アスペルガー症候群、学習障害(LD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)に分類しています。なお、自閉症やアスペルガー症候群は広汎性発達障害に含まれます。
複数の発達障害を伴う場合も多いなど個人差がとても大きく、また、周囲の対応や環境によって生じる後天的な二次障害(引きこもりやうつ状態等)を発症しやすいのも特徴です。主な発達障害として次のようなものが挙げられます。
広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)
発達障害の一群で、言葉や認知の面など様々な領域において発達に遅れがみられる障害を指します。自閉症、アスペルガー症候群のほか、レット障害、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害が含まれます。なお、広汎性発達障害は、「自閉症」、「アスペルガー症候群」、「小児期崩壊性障害」、「特定不能の広汎性発達障害」を統合して「自閉スペクトラム症」に名称変更されました。
アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)
広汎性発達障害に分類されます。知的の障害がなく会話の能力はあるものの、社会性やコミュニケーション、想像力に障害があります。特徴としては、場の空気を読めない、曖昧が苦手、強いこだわりがある、などが挙げられます。なお、アスペルガー症候群は元々、知的障害がない自閉症である高機能自閉症と似た症状と言われており、自閉症との明確な境界線引きは難しいとされていましたが、自閉症などとともに「自閉スペクトラム症」に統合されました。
学習障害(LD)(限局性学習症:SLD)
気分障害に分類され、以前は「躁うつ病」と呼ばれていました。気分が高まったり落ち込んだり、躁状態とうつ状態を繰り返します。特に、躁状態のときの常軌を逸した行動により社会生活に大きな影響を及ぼすこと、また、うつ病と間違われやすいことが特徴です。なお、双極性障害は、激しい躁状態とうつ状態が繰り返す双極性障害Ⅰ型と、軽い躁状態(軽躁状態)とうつ状態を繰り返す双極性障害Ⅱ型に分類されます。
薬物依存症
LDはLearning Disabilitiesの略で、発達障害の一つです。知的の障害は見られず、“読む”、“書く”などのある特定の能力の一つまたは複数の分野において、理解や能力取得に困難が生じる障害です。LDの原因は脳の障害と言われ、様々な感覚を理解し、イメージとして統合する能力に問題があると言われています。なお、学習障害は、「限局性学習症」に名称が変更されました。
自閉症(自閉スペクトラム症)
対人関係構築(社会性)の障害、コミュニケーション(意思伝達)の障害、創造力の障害(パターン化した興味や活動)、の3つの特徴をもつ障害です。なお、自閉症の半数以上は知的障害を伴いますが、残りの約3割は知的障害を伴わない症状で「高機能自閉症」と呼ばれます。自閉症は、発達障害のなかの広汎性発達障害に分類され、症状が軽い人たちまで含めて自閉症スペクトラム障害という呼び方をされる場合もありましたが、アスペルガー症候群などとともに「自閉スペクトラム症」に統合されました。
注意欠陥多動性障害(ADHD)(注意欠如・多動症)
不注意(集中力が続かない、忘れっぽい)や、多動性(じっとしていられない)、衝動性(思ったことをすぐ行為に移す、順番を待てない)、の三つの要素が見られます。知的障害はありません。多動や衝動性などの特徴が目立たない不注意優勢型、多動で衝動的な多動・衝動性優勢型、双方が現れる混合型、に分けられます。なお、注意欠陥多動性障害は、「注意欠如・多動症」に名称が変更されました。